石綿とは、造岩鉱物に属す繊維状の珪酸塩鉱物で、アクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クリソタイル、クロシドライト及びトレモライトをいいます。繊維状で紡織性を有し、耐熱性、熱絶縁性に優れていることで、建材製品として直接壁、天井、柱、梁等に吹き付けられたほか、床材、壁材、天井材、軒天材、防火壁材等に多く用いられました。使用例(国土交通省ウェブサイト)
石綿自体は問題でありませんが、石綿が空気中に拡散し、吸い込むことで労働者や一般人の中に長い潜伏期間の後に肺がんや中皮腫といった重篤な健康障害を起こしていたため、労働安全衛生法や大気汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律などで予防や飛散防止等が図られています。
そのため、現在では殆どの先進工業国が石綿の使用を禁止し、日本でも 2004 年 10 月 1 日から労働安全衛生法により石綿含有建材、石綿含有摩擦材、石綿含有接着剤の輸入、製造、使用等が禁止し、さらに 2006 年 9 月から石綿を 0.1 重量%を超えて含有する製品の輸入、製造、使用等を禁止し、2012 年には適用除外製品も含め全面禁止になりました。
新築建築物等について、石綿を使用することはなくなりましたが、今後既存の建築物の解体が進むことから、石綿含有建築物の解体等の作業に従事する労働者への配慮と周辺環境への石綿飛散の配慮が重要になります。