インフラ施設の老朽化対策、戸建住宅やマンションの長期修繕計画 repair plans

〇下水道事業
東京都の下水道の始まりは、コレラの流行による死者の増加により衛生面の改善を図るため、1884年に築造した「神田下水」です。築造後約140年が経過しています。1922年、約100年前三河島汚水処分場の運転が開始されました。近代下水道処理の始まりです。
都市化を図るうえで、住環境、特に衛生上のリスクを回避しなければ社会の土台を揺らしかねないため、人口の多いところから下水道整備を行いました。とはいっても、面的な下水道の整備するのには、下水道管を埋める道路が必要になり、大きな下水道管を埋めるには大きな道路、また埋める深さが深くなると経験と技術力が必要になりますし、費用もかかります。そうは簡単に整備が進みません。
下水道整備に時間を要するところから、1960年代後半から1970年代では、公害や河川の汚濁が社会問題になりました。社会基盤を整えるためには、下水道整備を急いで進める必要があります。
1980年代から多摩部についても下水道整備が始まり、1995年区部はほぼ下水道普及率が100%になりました。その頃下水道施設の築造は、全国的に最盛期となり現在でも築造され続けています。
膨大な労力と費用をかけて埋設した下水道管の耐用年数は50年です。

2022年度末における、全国の下水道管渠の総延長は約49万km、50年を経過した管渠の延長約3万km(総延長の約7%)、10年後は約9万km(約19%)、20年後は約20万km(約40%)です。出典:国土交通省ウェブサイト (https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/crd_sewerage_tk_000135.html
国土交通省は2008年度に下水道施設の老朽化対策として「下水道長寿命化支援制度」を策定し、それを改善したものとし「下水道事業のストックマネジメント実施に関するガイドライン」を2022年度に改定し、下水道管理者である各自治体に調査・点検、修繕、改築の実施をすることを誘導しています。                                           

〇道路事業
下水道も含みますが、道路・港湾・空港・鉄道などをインフラ施設といい、福祉の向上と経済の発展に必要な公共施設のことですが、これら公共施設の老朽化が懸念され、国土交通省は平成24年7月に検討を始めました。同年12月中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故が起こり甚大な被害が生じました。急きょ緊急点検が行われインフラ施設の老朽化対策が図られました。

「国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/common/001040673.pdf)」へリンク

道路といっても、道路表面の舗装の状態だけでなく、橋梁・トンネル・街灯・ガードレールなど複数の施設で構成されています。国土交通省は老朽化が原因で甚大な被害にならないよう橋梁・トンネルなどの大きな施設について、平成26年7月、5年に1度の近接目視の点検を管理者に義務付ける省令を施行しました。
橋梁については、長さが2m以上ある橋梁が全国で約70万橋、市町村の管理する橋梁が約50万橋あります。市町村では橋梁に従事する職員の数が少なく、大きな河川に架かる橋梁や吊り橋などは特殊の機材がないと近接目視ができないため、業務委託費用の捻出が課題の1つですが、国土交通省のリーダーシップにより、道路の老朽化対策は実施されています。

「国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/common/001046640.pdf)」へリンク

〇戸建住宅
戸建住宅は自己所有のため、所有者の意志に委ねられるところが大きいです。修繕費の支出のできる所有者は、よい状態の建物を維持できる反面、詐欺的な要素を含んだ来訪者に修繕工事を依頼することもあります。修繕費の捻出のできない所有者は、今まで修繕しなくても大丈夫だったから今後も大丈夫だろう、と放置し、建物が急速に老朽化することもあると思います。なにかの事情でその建物が空家になり、倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態などになると特定空家に指定されます。特定空家に指定されると、いずれ住宅用地の特例措置が適用から外され土地の固定資産税が正規の税額となり、最終的には行政代執行で撤去されます。
重要なことは計画を作り、計画に従うことです。
2004年、ぼくは某ハウスメーカーで戸建住宅を建てました。建築後下表の修繕計画書をもらいました。その当時は家を建てたら固定資産税だけで、お金はかからないと思っていたので、下表下段の「約14,000円/月」は衝撃でした。近年の機材費の高騰を考慮すると今後が恐ろしいです。

また地震などの災害から人命を守るため、社会活動の影響を最小限に抑え、迅速に災害前の社会活動を戻すため、耐震性・耐火性が叫ばれ、行政はいろんな取り組みをしています。
世田谷区では、昭和56年5月31日までに着工した木造住宅の耐震化の支援として、無料耐震診断、診断後の助成事業などを行っています。

〇マンション
国土交通省は「長期修繕計画標準様式 長期修繕計画作成ガイドライン 長期修繕計画作成ガイドラインコメント」出典:国土交通省ウェブサイト (https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001747006.pdf)の冒頭に、マンションは、令和2年末に累計約 675 万戸、約 1,573 万人が居住していると推測され、近年では年間約10 万戸が供給され、首都圏では住宅取得者の半数以上がマンションを選択し、マンション居住者の約6割がマンションを終の棲家と考えている、とあります。
反面、①共同生活に対する意識の相違、②多様な価値観を持った区分所有者間の意思決定の難しさ、③利用形態の混在による権利・利用関係の複雑さ、④建物構造上の技術判断の難しさなど、建物を維持管理していく上で、多くの課題があるとし、適切な長期修繕計画を作成し、これに基づいた修繕積立金の額を設定し、積み立てることが必要としています。
マンションは、専有部分共用部分で建物等が構成されており、共用部分については、区分所有者全員で団体(管理組合)を構成し管理を行うこととなります。国土交通省の提示するマンション標準管理規約「国土交通省ウェブサイト (001216238.pdf (mlit.go.jp))」の第32条に管理組合の業務の1つとして「長期修繕計画の作成又は変更に関する業務及び長期修繕計画書の管理」が挙げられています。コメントには

  • 建物を長期にわたって良好に維持・管理していくためには、一定の年数の経過ごとに計画的に修繕を行っていくことが必要であり、その対象となる建物の部分、修繕時期、必要となる費用等について、あらかじめ長期修繕計画として定め、区分所有者の間で合意しておくことは、円滑な修繕の 実施のために重要である。
  • 長期修繕計画の内容としては次のようなものが最低限必要である。
    1 計画期間が30年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上 とすること。
    2 計画修繕の対象となる工事として外壁補修、屋上防水、給排水管取替え、窓及び玄関扉等の開口部の改良等が掲げられ、各部位ごとに修繕周期、工事金額等が定められているものであること。
    3 全体の工事金額が定められたものであること。 また、長期修繕計画の内容については定期的な見直しをすることが必要である。
  • 長期修繕計画の作成又は変更及び修繕工事の実施の前提として、劣化診断(建物診断)を管理組合として併せて行う必要がある。

とあります。
マンションは巨大化するにつれ、多くの区分所有者が住み、セキュリティなど最新機器が導入され、管理が複雑になるため、マンション管理士など管理組合の運営を委託せざるを得なくなるマンションが多くあると思います。
でも自分たちの住環境であり財産です。 計画期間が30年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上の修繕計画であるか、外壁補修・屋上防水・給排水管取替え・窓及び玄関扉等の開口部の改良等が掲げられ、各部位ごとに修繕周期、工事金額等が定められているか、修繕積立金は十分か、定期的な修繕計画の見直しはされているかなど確認してみると、面白味が沸くかもしれません。管理組合の組合員も委託を請ける業者もみんな人です。コミュニケーションこそが大事です。
下にマンションの補修・修繕・改修の概念図を載せました。これはマンションだけでなく、インフラ施設、戸建住宅についても同様です。

2024年9月5日 | カテゴリー : ブログ | 投稿者 : 萱嶋弘明

マンションの共用部分 廊下、階段、バルコニーなど common area of condominium

「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分をいいます。
建物の区分所有等に関する法律第二条4項には「この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第2項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう」【出典:e-Gov法令検索https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000069)】とあります。
第四条第2項には、規約により共用部分とすることができること、その旨の登記をしなければ第三者に対抗することができないことが謳われています。

共用部分の分類は「法定共用部分」と「規約共用部分」に分かれます。規約共用部分は第四条第二項によるもので、外観上は専用部分と変わりありませんが、規約(マンションごとに定める【マンション管理規約】)により共用部とされるものをいいます。例えば、集会場やキッズルーム、管理人室などです。
法定共用部分は「全体共用部分」と「一部共用部分」に分かれます。一部共用部分は区分所有者の一部の共用部分で、高層階にしか止まらないエレベーターなどをいいます。
全体共用部分は廊下、階段、ロビー、バルコニーなど一般部と支柱、耐力壁(構造上必要な壁。仕切りの壁と異なり撤去できません)、屋根、外壁などのマンションの基本的構造部分とエレベーター設備、電気設備、消防設備、水道・下水道・ガスなどの配管などマンションの付属物をいいます。

全体共用部分(廊下、階段、玄関扉【錠及び内部塗装部分以外】雨水配管など)


バルコニー、窓ガラス、窓枠も共用部分です。

エレベーターは全階に停まるものは全体共用部分、一部にしか停まらないものは一部共用部分

共用部分の管理については、マンション標準管理規約「国土交通省ウェブサイト (001216238.pdf (mlit.go.jp))」「第5章 管理」に記載があり、冒頭に区分所有者の責務として、「 区分所有者は、対象物件について、その価値及び機能の維持増進を図るため、常に適正な管理を行うよう努めなければならない」とあります。マンションにはたくさんの人が住んでいるので、共用部分や他の専用部分に影響のある行為や建物に影響があることはやらないでください、必要があればみんなに相談してください、という内容になっています。
安全、安心、健全に過ごせる住環境の維持のための規則になりますが、マンション標準管理規約は国土交通省が作成したひな形のため、みなさまのマンション管理規約と同一ではないと思います。一度ご確認してみてはいかがでしょうか。
ただし、マンション管理規約に記載がないからといって共用部分に影響のある行為をしてよいと判断するのではなく、記載のないことをマンション管理組合に伝え、規約の修正を促すのがよいかもしれません。

2024年8月7日 | カテゴリー : ブログ | 投稿者 : 萱嶋弘明

エアコンの異臭。なかなか取れません。エアコンの掃除をしました。

エアコンの異臭はここ10年以上の永遠のテーマでした。
はじめのうちは、エアコンのアルミフィンに市販のスプレーを使っていました。スプレー後スプレーの匂いで少し気持ちよく過ごせたのですが、少しずつ異臭が復活してきました。またスプレーするのですが、アルミフィンの汚れが取れるようには見えませんでした。
量販店を物色していると、吹き出し口の奥にある送風ファンを掃除するスプレーを見つけました。確かに埃のように黒い汚れが送風ファンにはぎっしりと付着していました。アルミフィンよりも送風ファンのスプレーは高価なのですが、試験的に掃除をしてみました。
想像以上に黒い汚れが落ちました。でも完全に汚れが落ちたわけではなく、数か月過ぎると異臭がするようになりました。
そのうち何をやっても数日で異臭がするようになったので、新しいエアコンに買い換えました。そうはいっても、家中のすべてのエアコンを買い替えると費用がかかるので、だましだまし使用しました。
エアコン掃除のテレビCMを見かけるようになり、エアコンの掃除ってできるものだと思うようになり、やってみることにしました。

エアコンカバーをできるだけはずし、エアコン清掃用カバーをつけ、電気系統は防水しました。
ポンプ式水圧クリーナーで洗浄しました。かなり水が飛び散ります。

かなりの汚れが取れました。
天井エアコン用の清掃用カバーをつけ、高圧洗浄機で清掃しました。

エアコンカバーは外れやすいものとどうなっているのかさっぱりわからないものがあります。無理して外して、壊さないようにしてください。できるだけ外して、外れないものはそのままで、今よりも異臭がしなくなることを信じるとよいと思います。
個人的には高圧洗浄機で清掃したほうが、短時間で根こそぎきれいになったように思えました。しかし、圧力が高すぎアルミフィンに支障があったり、電気系統を巻き込んだりすることもあると思います。一般的にはポンプ式水圧クリーナーを使用するようです。

2024年7月31日 | カテゴリー : ブログ | 投稿者 : 萱嶋弘明

宅地建物取引業とは?報酬料は?女性専用シェアハウス。お問い合わせください。

宅地建物取引業とは、宅地建物取引業法第2条2項に「宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うものをいう」と定められています。

内容売買交換賃貸
自己
代理
媒介
〇:宅地建物取引

「業」とは不特定多数者に繰返し何回も、上表の宅地建物取引を行うことをいいます。
宅地建物取引業を行うものは、国土交通大臣または都道府県知事から免許を受けなければなりません。つまり自分が所有するマンションを不特定の者に貸すことは宅地建物取引業に該当しないため、都道府県知事等から免許を取る必要がありません。

宅地建物取引業法
(報酬)
第四十六条 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。

引用元:e-Gov法令検索

第四十六条中の「国土交通大臣の定めるところ」は「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」で告示されています。

第四十六条中のあるとおり、報酬が必要な取引は「代理又は媒介」であり、宅地建物取引業者が所有する宅地又は建物の売買又は交換については、報酬が必要ありません。宅地建物取引業者が所有する宅地又は建物の賃貸については、第2条2項にあるとおり宅地建物取引業ではないため、「国土交通大臣の定めるところ」は適用されません。宅地建物取引業者によって、「国土交通大臣の定めるところ」を準用したり、事務手数料として請求されることがありますので、借りられる方は宅地建物取引業者に確認してください。
かやしま不動産は、世田谷区奥沢1丁目に女性専用のシェアハウスを所有しています。清掃などの管理業務も自社で行っています。不具合があれば即対応、を心がけています。当物件については、敷金・礼金・手数料を無料としています。空き部屋がございましたら、かやしま不動産にお問い合わせください。
またかやしま不動産では、世田谷区を例にすると10,000件を超える賃貸物件からご要望にあった物件をご紹介いたします。ご契約時では、賃貸仲介手数料を「国土交通大臣の定めるところ」の「第四 貸借の媒介に関する報酬の額」の「一月分の一・一倍」を「一月分の〇・九九倍」とさせていただいています。合わせてお問い合わせください。

2024年7月23日 | カテゴリー : ブログ | 投稿者 : 萱嶋弘明

保証人のあり方の変化、家賃保証会社への推移

昭和・平成時代は、アパートを借りるときには保証人が必要で、不動産管理会社と大家さんの審査を受け、了解が得られると借りることができました。大概保証人は親や親族にお願いしてなってもらうことが多かったです。
平成時代前半、賃貸物件を探しに不動産屋に行ったことがあります。いくつかの物件を案内してもらい、借りたい物件を決めました。不動産屋の主人にぼくが市役所の職員だというと、主人は笑顔で物件のオーナーに電話して、立派な人だ、誠実な人だと繰り返し、保証人なしで賃貸契約をしました。この人はぼくの何を知っているのだろうか?

同時期に、借金の保証人になり借金の肩代わりをさせられる多くの事例が発生しました。保証額について、借金額だけでなく遅延損害金が加算され限度なく積み上がります。保証人の破産が多々あったため、保証人になることを依頼することで、人間関係がぎこちなくなることもありました。

国は2004年に貸金等債務(債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務)について、保証額の極度額を定めなければ効力がないと民法を改正しました。しかし保証については、貸金等債務だけではなく、家賃債務等についても同様であったため、国は2017年に個人根保証契約(一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約)についても保証額の極度額を定めなければ効力がないと民法を改定しました。

(個人根保証契約の保証人の責任等)
第四百六十五条の二 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(以下「根保証契約」という。)であって保証人が法人でないもの(以下「個人根保証契約」という。)の保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。
 第四百四十六条第二項及び第三項の規定は、個人根保証契約における第一項に規定する極度額の定めについて準用する。

e-Gov法令検索」<https://elaws.e-gov.go.jp/>

景気が低迷する中、高齢化等社会情勢の変化や家族の在り方等の意識の変化が進み、居住用建物の賃貸時に保証人不在のため、賃貸不能事例が発生しました。家賃保証の需要が高まり、家賃保証会社が設立されるようになりました。
保証内容、保証料の現状例を下の表に示します。

保証会社未納賃料
保証
明渡訴訟
費用
残置物撤
去費用等
原状回復
費用保証
初回保証料更新保証料
A社50%30% /2年
B社50%2% /月
C社50%10,000円 /年
                                保証料:月額家賃等の率

家賃保証会社が増えるにつれて、家賃保証に係る苦情が増えました。苦情例を以下に示します。

○過大・不明瞭な請求
  ・身に覚えのない保証会社からの請求(説明を求めても根拠が示されない)
  ・不明瞭な請求(求償の内訳が不明瞭)
  ・過大な手数料を請求された(法定された年率14.6%超)
 ○契約・説明
  ・保証契約を結んだ覚えがない
  ・更新手数料について説明を受けていない。
 ○その他
  ・保証人がつけられないから保証会社を利用するのに、保証会社から保証人を求められた。
  ・滞納立替え分の返済を分割払いに応じてくれない。
  ・保証会社からの退去要請
  ・事業者の倒産

出典:国土交通省ウェブサイト (001153371.pdf (mlit.go.jp)

2017年、国は家賃債務保証業を営む者の登録に関し必要な事項を定めることにより、その業務の適正な運営を確保し、家賃債務保証の健全な発達を図ることを通じて、もって賃貸住宅の賃借人その他の者の利益の保護を図ることを目的に家賃債務保証業者登録制度を創設しました。
登録されていなくても家賃債務保証業を営むことはできますが、登録の基準は 以下のようにしました。

  • 暴力団員等の関与がない
    安定的に業務を運営するための財産的基礎(純資産額1,000万円以上)
  • 法令等遵守のための研修の実施
  • 業務に関する基準を規定した内部規則・組織体制の整備
  • 求償権の行使方法が適切である
  • 相談又は苦情に応ずるための体制整備
  • 法人の場合、家賃債務保証業を5年以上継続していること又は常務に従事する役員のうちに、家賃債務保証業務に3年以上従事した経験がある
  • 使用人(事務所の代表者)について家賃債務保証業の経験が1年以上 等
出典:国土交通省ウェブサイト (001203919.pdf (mlit.go.jp)

家賃保証会社の審査の現状は、必要書類等確認後迅速に判断しています。ただし過去に家賃の未払い等あると、審査に通りません。賃貸物件を借りることができなくなるので、確実に家賃は支払うようにお願いいたします。

2024年5月28日 | カテゴリー : ブログ | 投稿者 : 萱嶋弘明

区分所有(マンション)の専有部分とは?区分所有者は何ができるのでしょうか。

  • 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。
  • 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。
  • 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。

マンションを購入しても、専有部分以外の建物の部分である「共用部分」は購入者すなわち区分所有者のものではないということです。例えば部屋を囲む躯体部ー鉄筋コンクリートでできているので叩くと硬いですーは共用部分です。(部屋を仕切っているだけの木材などでできている壁は専有部分)躯体の外にあるバルコニー、錠及び内部塗装部分以外の玄関扉、窓枠及び窓ガラスは共用部分です。個々の区分所有者が交換したり、エアコン設置のために穴をあけたりできないということです。
これはモデルとしての標準規約での考え方ではありますので、実際は個々のマンションの規約によります。専有部分の修繕工事についても理事会の承認が必要とマンションの規約に定められていることもありますので、修繕工事の検討時にマンションの規約にはどう書かれているか再度ご確認する必要があります。

平成30年度に発生した地震より、地震で倒れないブロック塀の安全対策が公表されています。

国土交通省(「国土交通省ウェブサイト」へのリンク)」は平成30年6月に発生した大阪北部地震の類似の被害のないよう、ブロック塀等について建築基準法施行令より以下のチェックポイントを公表しています。

□1.塀は高すぎないか
・塀の高さは地盤から2.2m以下か。
□2.塀の厚さは十分か
・塀の厚さは10cm以上か。(塀の高さが2m超2.2m以下
の場合は15cm以上)
□3.控え壁はあるか。(塀の高さが1.2m超の場合)
・塀の長さ3.4m以下ごとに、塀の高さの1/5以上突出した
控え壁があるか。
□4.基礎があるか
・コンクリートの基礎があるか。
□5.塀は健全か
・塀に傾き、ひび割れはないか。
<専門家に相談しましょう>
□6.基礎の根入れ深さは20cm以上か。
□6.塀に鉄筋は入っているか
・塀の中に直径9mm以上の鉄筋が、縦横とも 80cm間隔
以下で配筋されており、縦筋は壁頂部および基礎の横筋に、
横筋は縦筋にそれぞれかぎ掛けされているか。
・基礎の根入れ深さは30cm以上か。(塀の高さが1.2m超の
場合

国土交通省ウェブサイト 「ブロック塀等の点検のチェックポイント」(001251611.pdf (mlit.go.jp)

控え壁が邪魔なので、色を付けたり、ブロック塀を低くしたり、既設のブロック塀の高さを低くすることで控え壁を撤去したりしています。
大事なことは、地震時にブロック塀等が倒れて第三者等に損害を与えないこと、つまり地震時にブロック塀等が倒れないように、所有者及び占有者が管理すること。
また見通せない塀を高くすることで、死角が増え泥棒等の犯罪が起きやすくなります。
ブロック塀は2段程度にし、必要があればブロックの上に格子の柵を設けることで、地震時の安全面、防犯面で有効ではないでしょうか。

2024年5月3日 | カテゴリー : ブログ | 投稿者 : 萱嶋弘明

中野駅周辺、平成19年度に決定した中野四丁目地区地区計画により、ボーダーのない街並みが形成されています。

中野駅周辺にある公園、道路、大学用地等の境界に構造物がなく、樹木で覆われ、一体的な街が形成されています。地区計画でどう定められているのか調べました。
地区計画とは、特定の範囲の地区についてその地区にふさわしい計画の制限の網をかけることをいいます。
中野四丁目地区地区計画には、建築物の壁面後退の制限をしていますが、塀を設けてはいけないとか植樹をしないといけない等の制限はありませんでした。
中野区役所に訊くと、平成21年度にガイドラインを定め、ガイドラインをベースとして地区計画を定めているとのことでした。

セントラルパークと公共空地と民地との間にボーダーがありません。

大学と歩行者通路との間に塀などがありません。

杉並区の公園とも緑が一体化しています。

2024年5月1日 | カテゴリー : ブログ | 投稿者 : 萱嶋弘明

老朽化したマンションの現実

マンションには多くの人が住んでいます。多くの家族がいて、時間と共に変化します。
入居時は子育て同世代で、想い意見が同じ方向をむいていましたが、子供の成長と共に違う塾へ行き、違う学校へ通います。当然、学校の同じ部活の生徒の父兄との付き合いが濃くなります。
仕事を含めた日常の慌ただしさの中にいるだけで手がいっぱいだと思う中、仕事上のトラブルが発生すると心休まるときがありません。そこにマンションの会合やイベントがあっても、徐々に足が遠のくことは自然なことかもしれません。

3世帯で入居した優しいおじいちゃん、おばあちゃんを見かけなくなります。
だれが住んでいたのかわからない部屋が売りに出されたり、貸したりしています。知らない犬を連れた人を見かけるようになります。何回か外壁やエレベーターなどの点検や修繕をし、働き盛りだった人がマンションにいるようになります。
ある日、マンションの管理組合の役員当番で、会合に参加しました。
管理者から当マンションは大規模修繕の必要があり、修繕をするためには「区分所有者及び議決権の各4分の3以上」の賛成が必要です、と説明を受けました。
概略的に「区分所有者」とはマンションの部屋の数であり、「議決権」は専有部分の床面積の割合です。「区分所有者及び議決権の各4分の3以上」とは、会合の出席者ではなく総数です。
あなたは、どうしますか?

国土交通省が耐震性の不足するマンション(出典:国土交通省ウェブサイト (001404906.pdf (mlit.go.jp))、第三者被害をもたらすマンション、バリアフリー基準の不適合マンションなどを放置するのではない手法を提案・検討しています。
これで運営が整うマンションはわずかではないでしょうか。
公共の福祉と個人財産の境界を行政がどこまで踏み込めるのでしょうか。


2024年4月23日 | カテゴリー : ブログ | 投稿者 : 萱嶋弘明